IRは恩恵が大きい、と国の推進会議委員

人工島・夢洲に計画されているIRのイメージ図=大阪府の公表資料より

昨日に引きつづいて、毎日新聞・野田記者によるインタビュー記事から転載します。
政府のIR推進会議委員を務める美原融(みはら とおる)NPO法人ゲーミング法制協議会理事長へのインタビューです。
【「IRはマイナス面を超える恩恵が大きい」 国の推進会議委員強調】 (5/23)

――IRは国内にどんな影響をもたらしますか?

大きな経済効果を地域に与えることは間違いない。事業者がリスクを負って投資と事業を進めるため、税金をかけずに自治体へ税収がもたらされる。確かにカジノにはギャンブル依存症の問題などマイナス面があるが、それを超えるプラスの恩恵が大きい。米国やシンガポールでも開業前は市民の反対が根強かったが、開業後には地域の雇用が増え、市民の支持率が上がった。

――大阪ではIR予定地の地盤対策費790億円を市が負担することに。事業者優位になっていませんか?

参入希望が実質的に1社だけだったため、競争がなくなり、自治体側が交渉の優位性を失っている状況はある。ただし、リスクは民間が負うので、一定の裁量と判断権は事業者側にあってしかるべきだ。市有地を貸し出す大阪市が、対策費を負担するのは必ずしもおかしい話ではない。

――来場者数や経済波及効果の根拠が不明だという批判もありますが。

IRが開業予定の2027~29年には、新型コロナウイルス禍も落ち着いてインバウンド(訪日外国人)も回復しているだろう。事業者は巨額の投資コストを回収するため、ありとあらゆる努力をするので、相応の集客や経済効果が期待できるのではないか。

――ギャンブル依存症への懸念もねづよいですが?

IR実施法では、自治体が具体的な対策を担うことになっている。日本には競馬や競輪といった公営競技やパチンコがあるのに、これまで十分な依存症対策をしてこなかった。カジノ誘致を契機に、行政が対策に乗り出したことは評価したい。

――世界のカジノ市場はオンラインカジノが急増しています。

確かにコロナ禍でオンラインカジノが急成長しているが、収益の約8割はスロットやテーブルゲーム。地上型カジノが主力であることに変わりはない。コロナが収束して人の移動が戻ってくれば、日本の地上型カジノでも大きな収入が期待できる。

――認定へ向けて課題は何でしょう?

大阪と長崎の差は、資金調達の実現性だろう。大阪は調達先を全て公表しているが、長崎は出資者の開示が一部にとどまり、国が定める要求水準に応えられるかが鍵になる。
もう1点気になるのは、大阪と長崎が認定されたとしても、実施法で最大3カ所を認定するとしているため、1枠余ることになる。IRは事業者から自治体への納付金がたとえ増えても、地方交付税が減らない仕組みのため、自治体にはメリットが大きい。
申請期限は過ぎたが、再度チャンスがあるならば、本音ではやりたいと考えているところが多いのではないか。

美原融・NPO法人ゲーミング法制協議会理事長・毎日新聞記事より転載

略歴
美原融 (みはら・とおる)
1950年生まれ。一橋大卒業後、三井物産などを経て、2019年まで大阪商業大教授。専門は官民連携事業とカジノの法規制。IR整備推進法の議員立法を支援し、政府のIR推進会議の委員も17年から務める。

・・・・
さて、美原氏が上記インタビューで述べているように、またどこかの自治体が、最後に残った1枠に、加わろうと考えるでしょうか。そしてIR設置を、競って表明し始めるでしょうか。どうでしょ。

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