IRのなにが問題? ギャンブル依存症?

IRは問題が多すぎる、という人たちは次のように言っています。
IRの、特にカジノには大きな問題があり、一つには、お金を賭(か)けることをやめられないギャンブル依存症、もう一つには、組織犯罪の集団が、裏社会のお金をマネーロンダリングして表のお金にしてしまう、これらの問題は、日本では手におえなくなるだろう、と。それからまた、経済効果をねらってカジノをつくっても、町が廃(すた)れた例は、すでに他国でみられている、本当に大変なことなのだ、と。

ギャンブル依存症の心配

IRの施設にカジノがつくられたら、日本の一般の人にとっては、ギャンブル依存症の問題が一番の心配事になるといわれています。

その理由は、日本にはギャンブル依存症の人がもうすでにたくさんいて、社会的な問題になっているからです。

この依存症という病気は、たとえばゲームで負けて全財産をうしなったとしても、まだゲームをやろうとするくらい、のめり込む、「脳と人格が変わる病」、とまで言われている病気なのです。快復(かいふく)するためには長い時間が必要で、一生かかることもあり、その患者の家族もいっしょに病気と闘わなければならず、いま現在、そういうみなさんは大変に苦しんでいます。

依存症、世界の中で日本はトップ?

ギャンブル依存症の人は、日本には約320万人いるそうです。成人の3.6%におよんでいます。
これは米国やオランダの1.9%をぬいて、世界トップの数字で、ひじょうに多くいるということですね(日本医療研究開発機構のH29年度推計より)。
このさきIRにカジノができたら、ギャンブル依存症になる人はさらに増えるでしょうから、もっと大きな問題になるはずと心配されるのです。

IRを地元につくりたいと、手をあげている町(地方自治体)のほとんどが、地元にオープンするカジノのお客さんは、外国人は少なくて、ほとんどが日本人になるだろうと予想しています。
それは一つには、日本の人口がわりと多いため、お客として呼び込みやすいからのようです。
そしてまた日本の社会は、全体的にギャンブルをこわくて危険だとは感じない、そういう国民性だから、多くが入場すると予想しています。

なぜ日本人はギャンブルを怖がらない?

なぜ日本人はあまりギャンブルを怖がらない国民性なのか、少しだけ説明すると・・・

日本には競馬や競輪などの公営ギャンブルというものが、昔からあるし、それ以上に多くのパチンコ店が、わたしたちが暮らす家の近所や駅前などで営業しています。

それらはギャンブルというよりも娯楽とかレクリエーショの場所、というイメージで社会にとけ込んでいるため、日本人全体がふだんから、ギャンブルには危険がひそんでいる、とは考えずにいるようなのです。
そのため依存症の人が、多く生まれてきてしまったのでしょう。

IRのカジノに規制はあるけれど

IRのカジノに、ギャンブル依存症の人を守るための決まり事=規制を、もうけることになりました。しかしそんな規制では、役に立たないという声があがっています。

まず入場する時に、日本人は6,000円払ってマイナンバーカードを見せなければ入場ができない、という規制については、そのていどのハードルなど、依存症の人はやすやすと越えるだろうから、まったく役に立たないと反発されています。

それからまた、日本人がゲームをできるのは、週3回、月10回まで、という規制がもうけられましたが、それだけの回数ゲームをするなら、もうすでにじゅうぶん依存症だ、と専門家はいっています。

以上のことから、日本ではギャンブル依存症への対策がまったく不十分なまま、IRのカジノがつくられそうだと心配されるのです。

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