
人工島・夢洲(ゆめしま)
政府がすすめるIR事業計画は、横浜市が先ごろ撤退したため、今では大阪府・市が最有力候補地、ともいわれています。
ただしそのIR設置を予定している場所が、夢洲(ゆめしま)という、大阪港につくられた人工島であり、今はまだ駅も道路もまったく整備されていない広大な空き地です。これまでは物流倉庫やコンテナターミナルの基地と位置付けられてきたので。
そこへ、観光客などを呼び込むには膨大な予算をかけた整備をしなければなりません。
まず夢洲に新駅をつくるために、大阪市は、駅前周辺の整備を行う事業者を、今年4月に公募しました。ところが事業者の応募は一つもなくて、大阪市が独自で手掛けることになりました。総工費は約30億円です。
そしてまた、土壌を調査したところ基準値の2~3倍のヒ素と、1,5倍のフッ素が検出されたため、土壌汚染対策が必要になりました。
地震時に液状化する恐れもある土地で、その対策費も必要。総額は数100億円になりそうです。
夢洲へとむかう高速道路の整備もしなければなりません。
というように税金がべらぼうに掛かることもあってか、大阪市は、2025年開催の万博を、会場予定地だった花博記念公園や万博記念公園など、交通アクセスの良い場所から、夢洲へと変更し、そうして万博とIRをセットで開発していくと決めたようです。
その変更の決定は、2016年、当時の大阪府知事であった松井一郎氏と、IRを推進していた菅官房長官との話し合いで突然、トップダウンで決まりました。IRとカジノに重点がおかれた決定でした。
松井市長は以前に「IRやカジノには一切税金は使わない」と断言したこともありましたが、話は180度ちがってきました。
今後いったいどれだけの税金が必要になるのでしょう。大阪市民や、府民はそれらを許容しているのでしょうか。
このコロナ禍で財政がひっ迫した現状を、万博とIRが、きっと打開してくれるはずと考えるのでしょうか。
大阪府・市がタッグを組むカジノ事業者は、米MGMリゾーツ・インターナショナルと、オリックスの共同グループと決まっています。